MUSUPERUHEIMU

MUSUPERUHEIMU

第1話

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夜の闇に包まれた軍施設の敷地内
数体の漆黒のシノワタイプガーディアンが同時に襲いかかってきた

 「斬ッ!!」

・・・・キンッ!・・キンッ!・・・キンッ!!

僕は刀を翻しそれらにカウンターを喰らわせる

・・・ガシャガシャ・・・ガシャ・・・・ボゥゥン!!

そのカウンターがトドメになりガーディアン達は崩れ落ちた

 「ふぅ…やれやれ…でも粗方は倒したかな?」

僕は左腕の通信機のスイッチを入れ

 「こちら東地区第3ゲート前の掃討終りました」

 『了解だ、掃討が終了したのなら・・・ん?どうした』

どうやら最後のセリフは僕ではなく
別の者に対しての言葉のようだった

 『そうか・・・おい!東地区第3ゲートの担当者!
  一体敵がそっちへ向かったそうだ確実に仕留めろ!』

 「……了解」

・・・ピッ・・・

随分と尊大な言い方だと思いながら通信を切る

 「まっ軍人じゃ仕方ないか…」

それも解ってて軍なんかの依頼受けたのは僕だけどね
と、言うのもパイオニア2の出航は送れている原因が
公式にはホストコンピューターの不具合の為と発表されたけど
実はテロリストに襲撃された為という噂が流れていた
そしてここ最近、各地のそれもJPの軍施設が主に襲撃されている
これらの事には関連があると思い今回の仕事受けたんだけど…


さて一体こちらに来てると言ってたけど……?

辺りはほぼ暗闇に包まれ雲から僅かに覗く月光だけが照らしていた
元々はこの施設のライトなどが点っていたが
この付近のは既に先刻の襲撃者に破壊されてしまっている

だが雲は少しずれやがて月が姿を現し…

・・・・ガシャン・・・・・

そいつは照らす月の光を背にゲートの上に立っていた

…三本角の漆黒のシノワビートタイプのガーディアン…
……左腕の小手の部分の形が右と違うような…?

 「今までの奴らとは少し違うよだね…」

僕は右手の刀を強く握り締め構える

・・・・ガシャ・・・・!

次の瞬間そいつは飛び上がり

・・・・ヒュッ・・ゥゥウウウ・・・
・・・ガァァァァン!!

たった今迄、僕が立っていたところへ飛んできた

金属で出来ている地面がガーディアンの爪で
切り裂かれひしゃ曲がっていた
だがその攻撃力に比例して大きな隙ができる

 「チェストォ!!」

僕は上段の構えから渾身の斬撃を繰り出す
だがガーディアンは左腕だけを素早く動かし
腕の甲をこちらに向けると

・・・・バシャ!

腕の甲の装甲が左右に割れ、その中に萌葱色の光が点滅すると

・・・・ボゥン・・・

その巨体を覆える程、大きな魔方陣のような物が
その前に浮かび上がる

 「なっ!?」

・・・・キィィィィィン!!

僕の斬撃はその魔方陣に完全に受け止められた
弾かれるように僕は後ろに飛び
隙を与えず左手を突き出し

 「焔(ほむら)!!」

・・・ボンッ!

フォイエのテクニックを発動させる

・・・・キュィィィン・・・・

機械音と共にガーディアンの左腕の光が橙色へと変わり

・・・・ボゥン・・・・

橙色の魔方陣が浮かび上がる

・・・・シュン・・・・・

正確無比に敵を狙った炎弾は
その魔方陣の前で完全に消失した

 「こりゃ厄介だなぁ…」

テクニックを完全に相殺する技術なんて初めて見たぞ

 (…あの左腕には手が出そうにも無いな)

そう思い僕は相手の右側へと回りこむ

 「せいっ!」

相手の右後方まで回り込み攻撃をしかけた

・・・ギィン・・・・!

ガーディアンは右手の爪で僕の刀を防ぐ
だが僕は構わず左に体重移動をかけ
常に相手の背中に回りこむように動きながら
連撃を叩き込む

・・・・ギンッ!ギンッ!ギンッ!

ガーディアンは首を右後方に曲げながら
爪で僕の刀を弾いていく

完全に後ろに回っては駄目だ
そうすれば相手は回れ左をして
こっちが左腕の領域に入ってしまう

 (これはもう根競べだ…!)

ちょっとずつ軸をずらし焦らすような攻撃を続ける
僕が相手の周りをぐるぐると回り込み
ガーディアンはその場で回転してるような図がしばらく続いた
だが次の瞬間その均衡がついに…

 (…来るっ!)

…破られた!
ガーディアンは地面を踏みしめ下半身を固定し
上体だけを左に急旋回させて裏拳のように
左腕を僕にぶつけようとしてきた

・・・・・ブォン!!

僕はその場で跳躍してそれをかわし

 「斬ッ!!」

振り抜いた事で完全に隙だらけの左腕の
装甲が無い二の腕に全体重をかけ刀を振り下ろした

・・・・ギィィィン・・・・!!!

 「何っ!?」

完全に左腕を断ち切ろうとした僕の刀は
二の腕の少し喰い込む程度で止まっていた

 (装甲の無い二の腕でこの硬さはなんだ!?)

ガーディアンは右手の爪をこちらに向けてきた

 (一旦離れるか?いや駄目だ、ここで左腕を
  完全に潰さなくちゃいけないんだ…!)

 「真!」

ガーディアンの爪が僕に迫るが僕を刀に剣気を込める

 「閃光斬!!」

・・・キィィィィィィィィン・・・・!!


敵の二の腕に喰い込んでいる刀が光を放ち

・・・ボォォォン・・!!!

小さな爆発と共にガーディアンの左腕を斬り裂いた

だが敵の攻撃も止まらず

・・・・ザシュッ!!

 「うぐっ…!」

僕の左肩をえぐるように弾き飛ばす

・・・ズシャー・・・・

僕は地面を滑るように飛ばされようやく止まった

 「くっ・…」

左肩を抑えながらも僕は急いで起き上がり態勢を立て直す
僕の左腕への攻撃で敵は目測が誤ったのか
思ったより酷い怪我ではなかった
…まともに入っていたら即死しててもおかしくなかったろうに

敵の方を見れば相手も切り裂かれた
腕の断面を抑えつつ立っていた

・・・バチッ・・・バチッ・・・・

小さく弾ける音に目を向けると
僕の足元にガーディアンの左腕が転がっていた

 (だがお互い致命傷になってはいない!)

僕は素早く手の中にフォトンハンドガンを出現させ
敵に銃口を向けるが

・・・・ガシャァン!

ガーディアンは大きく後ろに跳躍し
再び月光を遮る雲によって訪れた夜の闇に消えていった

 「…逃げた…?」

まさかこんな豆鉄砲に恐れなした訳じゃないよね…

 「左腕を無くしただけで戦闘不能とは思えないけどなぁ?」

ちょっと首を傾げたくなる状況だけど敵の気配も無いので
僕は手の中のフォトンハンドガンをしまう

 「あっそうだそうだ僕の刀はっと…」

弾き飛ばされた時に手から落としてしまった刀を
探そうと僕は辺りを見渡した

 「あっあった♪…ってええええぇぇぇ!?」

暗がりの中見つけた刀の柄を持ち上げ僕は驚愕の声を上げた

 「お…折れてる…」

刀の刃は半ば辺りから綺麗に折れていた

 「う~僕のJ-ブレードがぁぁ…チャレ頑張ったのになぁ…
  無茶もしたけどS武器じゃ技に耐えれなかったのかな…」

嘆いていても仕方ないので僕は通信機のスイッチを入れた

 「こちら東地区第3ゲート…あれ?もしも~し」

・・・・・ザー・・・ザザザザー・・・・・・

通信機からは返事もなくノイズだけが聞こえてくる

 「…?…嫌だなぁ通信機も壊れたのかな?」

通信機を軽く振り故障を確かめていると

・・・・ドゴォォォォン・・・!!!!

突然、遠くで爆発音が轟く

 「!?ッ」

音の方を向けば遠くで炎と煙が上がり辺りを明るく照らす

 「まさか…あれは中央施設が…?」

…今のガーディアンはオトリ…?
いや単純な力押しかもしれない…
でもそれなら救援のコールがあってもおかしくないはずだ

 「…くそっ…!」

どっちにしろこれは…僕たちの…負けだ

遠くに燃え上がる炎を見つめながら僕は唇を噛み締めた

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「どういう事だソーン?」

 『私は抜けさせてもらう』

 「勝手な事を我々から離反する気か!?」

 『元々属した覚えも無い』

 「待てソーン!」

 『お前達の邪魔をする気は無い』

 「こらソーン!兄に向かってお前とはなんだ!?」

・・・・ブチッ・・・・・

 「どうした?」

 「妹…いやソーンの奴が単独行動をとると言ってな」

 「構わんではないか元々乗り気ではなかったのだろう?
  今回オトリ役を受けてくれただけでも在り難い事だ」

 「しかし温羅…」

 「我らの行動は強制ではない所詮はテロリストなのだからな
  彼女のような武人には似合わんよ……さぁ引き上げるぞ」


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